uminoschole

2023/09/23 00:00

106日(金)より開催の「石徹白洋品店POP UP -受け継ぎ、創造する石徹白の民衣店-」に向け、湖のスコーレスタッフ遠藤が全4回に渡り、岐阜県石徹白(いとしろ)の魅力を伝えるblog
№2のテーマは石徹白の「歴史文化」。
石徹白という土地を通し、また別視点から石徹白洋品店の魅力を皆さんにお伝えできればと思います!

 

富士山、立山と並び日本三霊山に数えられている白山(はくさん)。 白山には古来より「白山信仰」という山岳信仰が根付いています。

山麓に広がる石徹白は、白山信仰と深い関わりのある地域。 奈良時代の僧侶、泰澄(たいちょう)大師が石徹白から白山を開山したとも伝えられ、白山信仰ゆかりの 史跡が今も数多く残っています。


 

前回の blog で紹介した「白山中居(ちゅうきょ)神社」、「長走滝(ながばしりのたき)」、「石徹白の大杉」 もそのひとつ。集落の最奥、上在所に鎮座する「白山中居神社」は、泰澄大師が社域を拡張したと伝えられ、集落の中心的 存在になっています。 「長走滝」は白山へ入山する際に参拝者が体を清めた場所。そして「石徹白の大杉」には、「泰澄大師が地 面に突き刺した杖から根が生えて大きな杉になった」という伝説が残っています。


白山信仰は「御師(おし)」と呼ばれる石徹白の人々の布教によって、東海を中心に日本全国に広がっていきました。

御師とは、参拝者の案内や宿泊のお世話をしたり、祈祷を行なっていた神職のこと。 白山信仰が全盛期であった鎌倉時代の石徹白は、「登り千人、下り千人、宿に千人」と言われるほど、白山への参拝客で大変な賑わいをみせていたそうです。石徹白の御師は、それはそれは大忙しだったことでし ょう。

 

訪問 2 日目の朝、石徹白洋品店店主 平野馨生里さんに白山信仰ゆかりの場所に案内していただきました!

 

白山中居神社の隣にある「御興宿(おこしやどり)」。

地域の人たちが「杜(もり)」と呼ぶこちらの場所は、かつて神社のお祭りで御神輿が運ばれてきていた場所です。

木々に囲まれ、開けた空間。生い茂る植物のなか祈りの場としての石積みが今でも残っています。

 

石徹白には春夏秋冬さまざまな行事がありますが、毎年 5 月の第三日曜日に行なわれている「春の例大祭」 では境内で御神輿が運ばれ、「五段神楽(ごだんのかぐら)」という神楽が奉納されます。

この神楽は石徹白のみに伝わる門外不出のもの。小学生の女の子2人がそれぞれ「姉巫女」、「妹巫女」と なり、舞を奉納するこの神楽は、かつてはこの御輿宿においても行なわれていたそうです。


 

次に訪れたのは、集落の端に静かにたたずむ「大師堂」。

ここは白山信仰にまつわる仏像・仏具が大切に納められている場所です。

明治時代に政府から神仏分離令が発令された際、当時の奉納場所であった白山中居神社も対象となり、仏 像・仏具が処分されてしまいそうになりました。その際にそれらを守る場所として地域の人たちによって建てられたのがこちらのお堂です。

 

なんと戦国武将の織田信長や柴田勝家が寄進した仏具もあり、当時の白山信仰の広がりの強さがうかがえ ますが、なかでも奥州藤原氏の藤原秀衡が奉納したと伝えられる「虚空蔵菩薩座像(こくうぞうぼさつざ ぞう)」は、地域の人たちにとって大変思い入れの深い仏さま。

この仏さま、実は岩手県の平泉中尊寺に納められている仏像の姉妹仏で、同じ時代に作られたお 顔がそっくりな仏さまなのです。

文化庁の調査が行なわれた際にその関係性が正式に発覚。国 の重要文化財の認定を受けました。

 

長い間、地域の人たちによって大切に守られてきた仏さま。

過去に企画展の展示で平泉に仏像が里帰りされることになった際、その様子が岐阜の新聞に大きく取り上 げられました。 

記事とともに掲載されていた写真にはトラックで運ばれていく仏さまを見送る地域のおばあちゃん達の姿。 そこには「少しの間でも石徹白からいらっしゃらなくなるのは寂しい。」と手を合わせ涙する様子が写って いたといいます。 

そのお話を馨生里さんからうかがったとき、「石徹白の人たちにとって白山信仰はただの信仰ではなく、想 像以上にとても近く、心のよりどころであったんだな」と感じました。

 

明治維新の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)を機に地域の人により設立ていた「大師講」という講により、お堂と奉納品は現在も大切に管理されています。


 

石徹白の人々の暮らしに密接していた山への信仰。

独自の美しい歴史文化が信仰により小さな山間の集落で育まれていたことを知りました。


blog №3は以下よりお読みいただけます

石徹白洋品店POP UP -受け継ぎ、創造する石徹白の民衣店‐ 関連blog №3 | uminoschole (umi-no-schole.jp)

 

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石徹白洋品店 POP UP

-受け継ぎ、創造する石徹白の民衣 店-

開催期間:2023 10 6 ()15 () ※毎週火曜日は定休日です。

開催場所:湖のスコーレ shop

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